事務職への就職・転職を考え求人情報を見ていると、
「パソコンの基本操作ができること」
「Word・Excelが使えること」
といった応募条件をよく見かけますね。
また、事務職に就いたばかりの新人さんも上司から同様のことを言われないでしょうか。
しかし、事務職未経験だったり、普段からパソコンを使っていないと、
- 基本操作ってなに?
- 使えるってどこまでできたらいいの?
という疑問が沸いてきませんか?
結論からお伝えしますと、最初のうちは
- タッチタイピングやファイル、フォルダの操作、整理ができる
- Excelで入力や四則演算、SUM関数など簡単な関数を使用した計算ができる
- Wordで文章入力や装飾、印刷ができる
といった、初級レベルとされるようなことができれば問題ないと言えるでしょう。
※ご注意:求められるレベルは実務内容により異なるため、面接時や上司に必ず確認しましょう。
本記事では事務職に求められるパソコンスキルを1年目(初級)/3年目(中級)/5年目(上級)に分けてお伝えします。
また、パソコンスキルの身に付け方についても解説しますので、すでに身につけているスキル、足りないスキルを確認して、就職・転職や入社後のスキルアップにお役立てください。
1.【1年目】事務職に求められる5つの初級パソコンスキル
事務職で働き始めたばかりの1年目に求められ初級パソコンスキルとして、
- 基本的なパソコン操作
- タッチタイピング
- Excelの基本操作&関数
- Wordの基本操作
- メールの送受信
の5つがあげられます。
日々仕事をしているうちに自然と覚えていけますが、どれも早めに身につけておきたいスキルですので、詳しく解説していきます。
1-1. 基本的なパソコン操作ができる
パソコン上に保存された文書や書類のことを「ファイル」、ファイルを整理、保管する場所のことを「フォルダ」と言いますが、ファイル、フォルダの
- 新規作成
- コピー
- 移動
作成したファイルを見つけやすく管理するための
- 名前付け
- フォルダ整理
関係部署や得意先などとのメールでやり取りする際の
- ファイルの「圧縮」「解凍」
これが基本的なパソコン操作です。
最初の内は少し難しいかも知れませんが
- パソコンを使える状態にするためのセットアップ
- 仕事で使うソフトウェアのインストール
これらも職場によっては事務職に要求されるかもしれません。
1-2. タイピングが1分間で60文字打てる
パソコンに文字を入力する「タイピング」はパソコン操作の基礎スキルとなり、速く正確に入力できるようになることで、仕事の効率アップに繋がってきます。
速く入力できるとはどれくらいかというと、
1分間に日本語60文字を正確に入力できれば実務レベルとされています。
参考:タイピングの速さ・正確性を競う全国規模のコンクール「毎日パソコン入力コンクール」
キーボードを見ないで入力する「タッチタイピング(ブランドタッチ)」は練習すればするほど速く正確に入力できるようになりますので、無料で練習できる以下のおすすめサイトでぜひ練習してください!
1-3. Excelで表の作成やSUMなど基本的な関数が使える
Excel(エクセル)とはMicrosoft社が開発・販売している「表計算ソフト」のことです。
事務職では顧客管理や在庫管理、請求書の作成などでよく使われます。
Excelでは表の作成など基本的な機能の他に、合計値や平均値を求めたりするための関数と呼ばれる、あらかじめ定義された数式を使えることが求められます。
入社当初は決められたフォーマットにデータを入力することが多いですが、初級レベルとして以下の基本機能、関数が使えるといいでしょう。
- 決められたフォーマットへのデータ入力
- 色、フォントの種類サイズなどセルの書式設定
- 行や列の挿入、削除
- 足し算、引き算などの四則演算
- 枠線を引いての表の作成
- 余白や範囲設定などの印刷設定
- SUM関数:指定したセルの数値の合計値を計算する
- AVERAGE関数:指定したセルの数値の平均値を計算する
- MAX関数:指定したセルの中で最大の値を求める
- MIN関数:指定したセルの中で最小の値を求める
- COUNT関数:指定したセルのうち数値を含むセルの個数を求める
1-4. Wordで文字装飾、印刷などができる
Word(ワード)はMicrosoft社が開発・販売している「文書作成ソフト」のことです。
事務職では社内外へのお知らせ、企画書や提案書の作成などに使われます。
最初のうちは文章の入力、装飾、レイアウト調整などの以下の基本的な機能が使えることが求められます。
- 文字のスタイルを指定するためのフォントの設定
- 文字を装飾する太字や文字色の設定
- 文字の位置を調整する右寄せ、左寄せ、中央揃え
- 文字を段落ないの指定した位置に揃えるタブ揃え
- 文字の間隔を均等に空け、文字列の両端を行頭、行末に揃える均等割り付け
- 余白やページサイズなどの印刷設定
ただし、重要視されるのは、機能が使えることよりも、読み手にとっての「資料の見やすさ」「わかりやすさ」ですので注意してください。
1-5. メールソフトで送受信ができる
社内や得意先とのメールのやり取りは、Microsoft社のOutlookや、GoogleのGmailで送受信ができれば基本的に問題ありませんが、以下の基本機能が使えるといいでしょう。
- メールの送受信
- 宛先以外の情報共有したい関係者へ送信するためのCC
- 宛先以外で他の受信者にメールアドレスを見せず送信するためのBCC
- メール文末に自動で社名や連絡先を挿入する署名機能
- 大量のメールを分かりやすく管理するためのフォルダ分け
2. 【3年目】事務職に求められる中級パソコンスキル
事務職3年目では、Excelの少し複雑な関数や、Wordで書類の体裁を最後まで整えるための機能が使えることが求められてきます。
2-1. Excelでグラフの作成やVLOOKUPなど複雑な関数が使える
Excelでは提案資料で数字を見やすくするためのグラフの作成や、条件に一致する情報を取り出すVLOOKUP関数など複雑な関数を使えることが求められます。
- 伝えたい情報を効果的に伝えるためのグラフ作成
- 表をスクロールしたときに見出しを表示したままにするウィンドウ枠の固定
- 表を特定の条件で並べ替えるデータの並び替え
- 表の中から特定の条件を満たすデータだけを抽出するフィルタ
- 指定したセルの値に対し、条件ごとに書式を切り替える条件付き書式
- Excelに外部データを取り込むインポート
- IF関数:あらかじめ指定した論理式に対し、真か偽か判定を行う
- DATE関数:指定された年、月、日から日付をを作成する
- LEFT関数:文字列の左端から指定した文字数分を取得する
- MID関数:文字列の指定した開始位置から、指定した文字数分を取得する
- RIGHT関数:文字列の右端から指定した文字数分を取得する
- VLOOKUP関数:指定した値を表から検索し、一致した行の特定のデータを取得する
2-2. Wordで図の挿入やインデントの調整などができる
Wordでは行間の調整や表、画像を挿入するなど、書類の体裁を最後まで整えることが求められます。
- 段落の書き出し位置を調整するインデント調整
- 行と行の間の距離を調整する行間の調整
- 外部のWebページや文書内の特定位置へジャンプするためのリンクの設定
- 伝えたい情報を効果的に伝えるためのグラフ作成、表作成
- 文章の重要ポイントを視覚的に強調するための図形描画、写真などの画像挿入
3. 【5年目】事務職に求められる上級パソコンスキル
事務職5年目にもなると、Excel、Wordともに大幅に業務効率をあげられるマクロ、VBAなどが使えることが求められてきます。
ExcelもWordも、マクロは自分の操作を記録して作成することもできますが、プログラミング知識を必要とするVBAまで使えるとより柔軟な業務の自動化ができますので、ぜひチャレンジしてください!
3-1. Excelで関数を組み合わせたり分析ができる
- 膨大なデータを集計、分析できるピボット集計機能
- 初級、中級レベルまでの複数の関数を組み合わせた複雑な数式
- 複数の操作をまとめて実行できるマクロ(VBA)の作成
3-2. Wordで目次作成や差込印刷ができる
- 書類の見出しから自動で作成する目次
- 入力ミスや表記の統一性のチェックなどを行う校正機能の設定
- 封筒やはがきなどの郵便物に貼り付けるための宛名ラベル作成
- 宛名など文書に別のファイルのデータを差し込んで印刷する差込印刷
- 複数の操作をまとめて実行できるマクロ(VBA)の作成
4. 事務職が抑えておきたい、よく使うExcel関数や機能
ここでは事務職でよく使うExcelの具体的な関数、機能について説明します。
四則演算
いわゆる足し算、引き算、かけ算、割り算をExcelで行います。
足し算、引き算は「+」(プラス)、「-」(マイナス)ですが、注意点としてかけ算は「*」(アスタリスク)、割り算は「/」(スラッシュ)で行う点です。
数式を「=」(イコール)から書き始め、計算したい数式を入力します。
例えば「10×100」を求めたければ「=10*100」と数式に入力し、「販売個数」と「価格」のセルの値から「合計額」を求める場合は「=D3*E3」のように数値の代わりにセルの参照を入力します。
表の作成
表作成の基本的な流れは以下の通りです。
- 列の見出しを作成する
各列、行にどのような値を入力するのかを示す、見出しを作成します。
見出しは1行目、1列目以外でも任意に入力できます。
- データを入力する
見出しができたら各列、行にデータを入力していきます。
ここでは計算の必要がない、手入力するデータのみ行います。
- (必要に応じ)計算式、関数で計算する
合計値など手入力するのではなく、自動で計算したいデータがあれば計算式や関数で求めるようにします。
例えば合計値であれば、四則演算の「+」やSUM関数で求めることができます。
- 表の体裁を整える
自分以外の上司やお客さまが表を見やすくするため、最後に表の体裁を整えます。
表の見た目は、
・見出しに色を付ける、太字にする
・見出し、各データの文字の配置を変更する
・罫線を設定する
など行います
例として罫線を設定する場合、
1.表のセル全体を選択し、
2.①[ホーム]タブ→②[罫線]→③[格子]を選択します。
3.設定が完了すると、選択していたセル全体に罫線が引かれます。
SUM関数
SUM関数は「セル範囲」で指定したセルの数値を合計した結果を求める関数です。
数式に「=SUM(セル範囲)」と入力します。
「セル範囲」は連続した範囲を指定する方法と、離れた複数のセルを指定する方法があります。
範囲選択:範囲の最初と最後のセルを「:」(コロン)で繋げる
複数セル指定:指定する複数のセルを「,」(カンマ)で繋げる
例)
- 1列目の1行目から5行目までの範囲を指定する場合「=SUM(A1:A5)」
[Enter]キーを押すと合計値が表示されます。
- 「A1」「A3」「A5」セルの複数セルを指定する場合「=SUM(A1,A3,A5)」
[Enter]キーを押すと合計値が表示されます。
AVERAGE関数
AVERAGE関数は「セル範囲」で指定したセルの数値を平均した結果を求める関数です。
数式に「=AVERAGE(セル範囲)」と入力します。
「セル範囲」は連続した範囲を指定する方法と、離れた複数のセルを指定する方法があります。
範囲選択:範囲の最初と最後のセルを「:」(コロン)で繋げる
複数セル指定:指定する複数のセルを「,」(カンマ)で繋げる
例)
- 1列目の1行目から5行目までの範囲を指定する場合「=AVERAGE(A1:A5)」
[Enter]キーを押すと平均値が表示されます。
- 「A1」「A3」「A5」セルの複数セルを指定する場合「=AVERAGE(A1,A3,A5)」
[Enter]キーを押すと平均値が表示されます。
MAX関数・MIN関数
MAX関数は「セル範囲」で指定したセルの数値の最大値を求める関数です。
数式に「=MAX(セル範囲)」と入力します。
同様にMIN関数は最小値を求める関数で、数式は「=MIN(セル範囲)」です。
「セル範囲」は連続した範囲を指定する方法と、離れた複数のセルを指定する方法があります。
範囲選択:範囲の最初と最後のセルを「:」(コロン)で繋げる
複数セル指定:指定する複数のセルを「,」(カンマ)で繋げる
例)
- 1列目の1行目から5行目までの範囲を指定する場合「=MAX(A1:A5)」「=MIN(A1:A5)」
[Enter]キーを押すと最大値が表示されます。
- 「A1」「A3」「A5」セルの複数セルを指定する場合「=MAX(A1,A3,A5)」「=MIN(A1,A3,A5)」
[Enter]キーを押すと最大値が表示されます。
COUNTA関数
COUNTA関数は「セル範囲」で指定したセルのデータ個数を求める関数です。
※似た関数のCOUNT関数はデータではなく数値の個数を求めますが、データ個数を求めることの方が実務では多いです。
数式に「=COUNTA(セル範囲)」と入力します。
「セル範囲」は連続した範囲を指定する方法と、離れた複数のセルを指定する方法があります。
範囲選択:範囲の最初と最後のセルを「:」(コロン)で繋げる
複数セル指定:指定する複数のセルを「,」(カンマ)で繋げる
例)
- 1列目の1行目から5行目までの範囲を指定する場合「=COUNTA(A1:A5)」
[Enter]キーを押すとデータ個数が表示されます。
- 「A1」「A3」「A5」セルの複数セルを指定する場合「=COUNTA(A1,A3,A5)」
[Enter]キーを押すとデータ個数が表示されます。
5. 事務職が抑えておきたい、よく使うWord機能
ここでは事務職でよく使Wordの具体的な機能について説明します。
フォントの種類を変える
文字のフォントの種類を変えるには、フォントを変更したい文字列を選択し、
①[ホーム]タブ→②[フォント]→③フォントの一覧から使用するフォントを選択します。
フォントを選択すると、文字列のフォントが変わります。
文字を太字にする
文字を太字にするには、太字にしたい文字列を選択し、
①[ホーム]タブ→②[太字]を選択します。
[太字]を選択すると、文字列が太字に変わります。
文字に下線を引く
文字に下線を引くには、下線を引きたい文字列を選択し、
①[ホーム]タブ→②[下線]を選択します。
[下線]を選択すると、文字列に下線が引かれます。
文字に取り消し線を引く
文字に取り消し線を引くには、取り消し線を引きたい文字列を選択し、
①[ホーム]タブ→②[取り消し線]を選択します。
[取り消し線]を選択すると、文字列に取り消し線が引かれます。
文字の位置を揃えるタブ揃え
イベント案内の書類を作成する際の場所と時間など、事務職が作成する書類では項目とその内容を揃えて表示したいケースがよくあります。
この項目と内容を揃えるのに空白で位置を揃えるのではなく、「タブ」という機能を使うときれいに揃えることができます。
- 最初に位置を揃えることは考えず、まずは項目と内容を続けて入力します。
※スペースを入れないでください。
- 入力が終わったら、位置を揃えたい内容のある行を全て選択します。
- 画面左の縦のメモリ(垂直ルーラー)の上に「└」のマークが表示されていることを確認します。
上図のマークでない場合、マークをクリックすることで表示が切り替わりますので、「└」のマークになるまでクリックしてください。 - 画面上の横のメモリ(水平ルーラー)で、内容を表示したい位置の数字下をクリックすると、
「└」のマークが表示されます
- 本文の位置を揃えたい内容の先頭を選択し、
キーボードの[Tab]キーを押すと指定した位置まで移動します。
同様に他の内容もタブを挿入することで内容の先頭位置をきれいに揃えることができます。
6. 事務職がパソコンスキルを身につける方法は?
パソコンの基本操作などの情報はインターネット上でも多く見つけることはできますが、体系的に整理されておらず、初心者が一から学ぶことは難しいため、
- 基礎から応用まで順序立てて学ぶことができる書籍
- 実際の操作手順を見ながら学べるYouTube動画
で独学するか、
独学での習得が難しそう、自分に合ったカリキュラムで進めたいといった方は
- パソコン教室で指導を受ける
という方法がいいでしょう。
ここでは書籍やYouTube動画、パソコン教室で身につける方法について解説します。
6-1. 書籍やYoutube動画で独学
書籍やYouTubeなどの無料動画でも基礎から応用まで順序立ててまとめられているものが多いため、体系的に学びやすく構成されているものを選ぶのがおすすめです。
また、書籍や動画であれば費用を抑え、自分のペースで何度でも繰り返し復習できるので、理解を深めることができます。
選ぶ際の注意として、できるだけ新しい書籍や、会社で使用するツールのバージョンにあった解説を行っているものを選ぶようにしてください。
また、書籍や動画はどうしても自分一人で進めるので、分からない点を都度調べたり、スケジュール管理を自身で行う必要があるため、自己管理が大切となってきます。
6-2. パソコン教室に通う
独学でのパソコンスキル習得に自信がない場合、パソコン教室の活用がおすすめです。
パソコン教室では講師への質問が行え、分からないことをすぐに解決できるので、自身で調べ直したり、調べても分からず手が止まるということがないためモチベーションが維持しやすいです。
また、スケジュールやカリキュラムが整っているので自身で管理しなくても学習の継続がしやすいです。
ただし、独学に比べ教室に通うための時間確保、費用がかかるなどのデメリットもあるため、無料体験などを通して独学とどちらが自身にあっているかよく判断してください。
7. まとめ:事務職に求められるパソコンスキルを身につけましょう!
事務職にとって、パソコンスキルの向上は業務の効率化や仕事の幅を広げるために不可欠となってきます。
普段パソコンを使っていないと分からないことが多く、不安になりやすいですが、いきなり難しいスキルを要求されることは少ないでしょうから、自分に合った学習方法で、まずは本記事にあるような初心者レベルで求められるスキルを一つ一つ身につけて、キャリアアップを目指していきましょう!